【日米比較】ペルソナ作成と活用法

ペルソナとは

ペルソナは、ターゲットユーザーの典型的なプロフィールを具体的に表現したものです。名前、年齢、職業、趣味、課題など、ユーザー像を設定することで、単なる美しさだけでなく、ユーザーのニーズや問題解決に焦点を当てた価値のあるプロダクトをを提供できるようになります。

ペルソナの重要性

ユーザー中心設計

ターゲットユーザーの望むこと、困りごと、動機などに焦点を当てた代表的な人格を設定することで、、「誰のために設計するのか」が明確になり、ユーザーの本質的な問題解決に焦点を当てた設計に近づきます。

優先事項の明確化

ペルソナを基に、どの機能が優先されるべきかを明確にできます。全てのユーザーが求めるものではなく、特定のペルソナに焦点を当てることで効果的な設計が可能です。

共通の人物像をイメージ

異なる分野のチームメンバーとも共通の人物像をイメージすることができ、効率よくプロジェクトを進行することができます。

日本とアメリカ、ペルソナの違い

データに基づいたアプローチ

アメリカでは、ペルソナ作成において、リサーチやデータに強く基づいたアプローチが重視されます。調査、アンケート、ユーザーテストなどを活用し、ペルソナが具体的かつ客観的になるようにデザインされます。データに基づいた意思決定が一般的です。一方日本では、アメリカに比べると、経験や直感に基づいたアプローチが多く見られることがあります。

ターゲット市場の細分化

アメリカでは、市場が広く多様なため、ターゲットユーザーの細分化が進んでいます。特に、年齢や地域、ライフスタイルに応じた複数のペルソナを設定し、それぞれのニーズに合わせたサービスや製品の提供が行われます。日本の方が、市場の細分化がやや限定的です。

チーム間でのペルソナの共有

アメリカでは、チーム間でのペルソナ共有が進んでおり、特にマーケティング、デザイン、開発など、各部門が同じペルソナを理解し、共通の目標に向かって進む文化があります。頻繁にミーティングを行い、共有ドキュメントやプレゼンを通して、ペルソナを常に更新し続けます。

日本でも、ペルソナをチーム全体で共有する文化が浸透しつつありますが、まだ課題もあります。部門ごとの縦割り文化が強い企業では、全員が同じ方向を向くまでに時間がかかることがあります。

ペルソナのアップデート頻度

アメリカでは、変化の早い市場に対応するため、ペルソナは定期的に更新されます。ユーザーのフィードバックやデータ分析に基づいて、ペルソナが柔軟に変化することが一般的です。

日本では、一度作成されたペルソナは、その後の更新があまり行われないことがあります。特に長期的なビジネス戦略を重視する企業では、安定性を優先し、ペルソナの再評価を行わない場合もあります。

「ペルソナ」作成の3つの手順

プロダクトにより最適なペルソナ数は違いますが、一般的に異なるセグメントのペルソナを3-4個作成するのが最適といわれています。ペルソナが多すぎると手に負えなくなる可能性があるので最小限に抑えることも重要です。複数のペルソナがある場合は、プライマリー、セカンダリを設定します。

内容としては、すべてのユーザーの個々のニーズを考えるよりも、最も典型的なユーザーグループ主要なニーズに焦点を当てることが大切です。目標、課題、スキル、態度、背景情報、行動パターン、生活環境、架空の個人情報などが設定されます。ペルソナを現実的なキャラクターにするため具体的に構築していきます。

1、ユーザーリサーチ

最初に、ユーザーリサーチによってターゲットユーザーを理解します。最も典型的なユーザーグループにユーザーインタビューやアンケート、観察などの手法を用いて、ユーザーのニーズ、行動パターン、好みなどを把握することが理想です。

リサーチなしに想像でユーザーを仮定してしまうと、偏見や思い込みでペルソナを設定してしまう可能性があります。

2、ユーザーセグメンテーション

ユーザーリサーチの行動をリスト化し、マッピングしてカテゴライズして、6つまたは8つのクラスターグループ傾向を製作します。ターゲットが複数考えられる場合には、ユーザーの性質ごとに作成します。

3、ペルソナの作成

行動のクラスターグループを、共感できるペルソナにします。ペルソナは、年齢、性別、職業、趣味、関心事などの基本的なデモグラフィック情報に加えて、ユーザーの目標、ニーズ、行動特性、課題、モチベーションなどを含めます。

ペルソナを、より具体的かつ人間味あるキャラクターにするために、詳細な情報を追加します。彼らのバックストーリーやライフスタイル、環境、意思決定プロセスなどを考慮し、より深い理解を得ます。

「ペルソナ」の活用

ペルソナ自体には価値がありません。それらは、シナリオに落とし込んでこそ価値があります。シナリオは、ペルソナの問題解決に焦点を当てたストーリーです。発生する可能性のあるユースケースを明確にする必要があります。

シナリオ作成

シナリオ作成は、ペルソナの問題点と解決策を具体的にイメージするための手法です。ユーザーが直面する問題や目標、その解決策をストーリー形式で描写します。ペルソナの特徴や行動パターンを考慮しながら、ユーザーの体験を具体的に想像し作成します。

ユーザーフロー設計

ペルソナを作成し、ペルソナの問題解決のシナリオを設定したら、次はその課題をどのようにしたら解決できるかのユーザーフローを設計してユーザーがプロダクト内でどのようにナビゲートするかを可視化します。ユーザーがスムーズに目的を達成できるようなフローを設計します。

チーム内の意識共有

全ての関係者が共通の目標に向かって進むためにペルソナ、シナリオ、ユーザーフローを活用します。

良いペルソナの特徴

良いペルソナの特徴

ユーザー特性を集めてペルソナと呼ぶのは簡単ですが、効果的なコミュニケーションツールであるユーザーペルソナを作成することはなかなか難しいです。以下の情報はAdobeのUXツールであるXDのサイトより引用させていただきます。

リサーチデータに基づくこと

Personas aren’t fictional guesses at what a target user thinks. Every aspect of a persona’s description should be tied back to real data (observed and researched).
ペルソナ像は、想像上の推測ではなく、観察やリサーチデータに基づいて作成しましょう。思い込みや先入観を人物像に反映してはいけません。

現状の課題に焦点を当てること

A persona focuses on the current state (how users interact with a product), not the future (how users will interact with a product).
未来ではなく、現時点で製品を操作する方法に焦点を当てます。

人物像が具体的であること

  • A persona is context-specific (it’s focused on the behaviors and goals related to the specific domain of a product).具体的なユーザーの行動、ペインポイント、ゴールに焦点を合わせます。顧客の課題を本質的に捉え、自社だから解決できる顧客の課題を設定します。
  • 具体的に書きましょう。「旅行好き」ではなく「1年に2週間の旅行に1回行く」など人間を想像しやすいように。
  • 行動、態度、意見、動機など心理的属性を含めます。
  • 住んでいる場所や給与水準などの統計を乗せた方がいい場合もあります。
  • ペルソナに反映させること
  • ペルソナはターゲットユーザーの特徴を反映させるものです。ユーザーの役割を反映したものではありません。

視覚的な特徴

  • できるだけ視覚的に魅力的なものが良いです。ペルソナの特徴を示す魅力的な配色を使用し、アイコンやグラフィックを使用しましょう。画像は、写真、漫画、スケッチのいずれでもかまいませんが、年齢、ライフスタイル、職業の観点から人物を適切に表現する必要があります。有名人の写真は先入観が入ってしまうので避けます。
  • 複数のペルソナを作成する場合は統一したデザインにする。特徴を比較しやすくなったり、思い出しやすくなります。
  • 詳細すぎないようにしましょう。文字はシンプルであるほど良いです。必要以上の情報を載せないようにしましょう。

【まとめ】

ペルソナを作成することにより、開発者やデザイナーは具体的なユーザー像を持つことができ、そのユーザーの視点からプロダクトを設計することが可能となります。これにより、ユーザーがより使いやすい、満足度の高いエクスペリエンスを提供することができます。

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