アメリカではプロダクトを開発する際にペルソナを作成することが一般的です。ペルソナとは、ターゲットユーザーの代表的なキャラクターを表現した架空の人物であり、その人物の特徴やニーズを具体的に明確化するために使用されます。以下に、アメリカでの一般的なペルソナ作成の手順をいくつか紹介します。
日本でも、アメリカのようなペルソナを作成する手法が活用されつつあるそうです。ユーザー中心のデザイン思考やアジャイル開発の考え方が浸透してきており、ユーザーの声やニーズを重視したプロダクト開発が進められています。これにより、日本のUI/UXデザインもより使いやすく、ユーザーにとって価値のある体験を提供できるようになっています。
ペルソナ作成の目的
ユーザー中心のプロダクト製作に近づくことが出来る
ユーザーの主要な現状の期待、懸念、動機などに焦点を当てた代表的な人格を設定することで、、「誰のために設計するのか」が明確になり、ユーザーのニーズを満たした設計に近づきます。
チーム内で共通の人物像をイメージ出来る
異なる分野のチームメンバーとも共通の人物像をイメージすることができ、効率よくプロジェクトを進行することができます。
ペルソナ作成の5つの手順
一般的にプロジェクトにおいて複数のオーディエンスユーザーセグメントを反映した3つまたは4つのペルソナのみを作成するのが最適といわれています。ペルソナが多すぎると手に負えなくなる可能性があるので最小限に抑えることも重要です。複数のペルソナがある場合は、プライマリー、セカンダリを設定します。
内容としては、すべてのユーザーの個々のニーズを考えるよりも、最も典型的なユーザーグループの主要なニーズに焦点を当てることが大切です。目標、課題、スキル、態度、背景情報、行動パターン、生活環境、架空の個人情報などが設定されます。ペルソナを現実的なキャラクターにするため具体的に構築していきます。
1、ユーザーリサーチ
最初に、ターゲットユーザーを理解するためにユーザーリサーチが行われます。最も典型的なユーザーグループにユーザーインタビューやアンケート、観察などの手法を用いて、ユーザーのニーズ、行動パターン、好みなどを把握することが理想です。調査無しにユーザーを製作する場合、ステレオタイプのユーザーをペルソナとして設定しないようにすることは非常に重要です。
2、ユーザーセグメンテーション
ユーザー調査の行動をリスト化し、マッピングしてカテゴライズして、6つまたは8つのクラスターグループ傾向を製作します。ターゲットが複数考えられる場合には、ユーザーの性質ごとに作成します。
3、ペルソナの作成
行動のクラスターグループを、共感できるペルソナにします。ペルソナは、年齢、性別、職業、趣味、関心事などの基本的なデモグラフィック情報に加えて、ユーザーの目標、ニーズ、行動特性、課題、モチベーションなどを含めます。ペルソナをより具体的かつ人間味あるキャラクターにするために、詳細な情報を追加します。彼らのバックストーリーやライフスタイル、環境、意思決定プロセスなどを考慮し、より深い理解を得ます。
4.ペルソナを活用する
ペルソナ自体には価値がありません。それらは、シナリオに落とし込んでこそ価値があります。シナリオは、ペルソナが目標を達成する想像上の状況です。シナリオは、設計者が主要なユーザーフローを理解し、それらの要件から設計ソリューションを作成します。シナリオは、ペルソナの観点から、通常は高レベルで作成し、発生する可能性のあるユースケースを明確にする必要があります。
- シナリオ作成: ペルソナを基にしたシナリオ作成は、ユーザーがプロダクトをどのように使用するかを具体的にイメージするための手法です。シナリオは、ユーザーが直面する問題や目標、その解決策をストーリー形式で描写します。ペルソナの特徴や行動パターンを考慮しながら、ユーザーの体験を具体的に想像し、それに基づいてシナリオを作成します。
- ユーザーフローの設計: ペルソナを基にしたユーザーフローの設計は、ユーザーがプロダクト内でどのようにナビゲートするかを可視化するための手法です。ユーザーフローは、ユーザーがアクションを起こす順序や画面遷移を示すダイアグラムとして表現されます。ペルソナの目標やニーズを考慮しながら、ユーザーがスムーズに目的を達成できるようなフローを設計します。
- 機能やコンテンツの決定: ペルソナを基にした機能やコンテンツの決定は、プロダクトが提供する機能や情報の内容と優先順位を決めるための手法です。ペルソナのニーズや要求に合致する機能やコンテンツを特定し、それに基づいて開発の優先度を設定します。また、ペルソナの特性や行動パターンを考慮しながら、ユーザーが必要とする情報や機能を提供する方法を検討します。
5.調査結果を共有し、チームから承認を得ます
ペルソナは、プロダクト開発のガイドとして活用されます。すべてのプロダクト製作チームメンバーと関係者は、ペルソナの視点からプロダクトの設計や機能の決定を行い、ユーザーにとって有益なエクスペリエンスを提供するための指針とします。
ペルソナは、プロダクト開発の各ステージで参考にされ、ユーザーが求める価値や使いやすさを最大化するための指標
良いペルソナ/悪いペルソナの特徴
良いペルソナの特徴
ユーザー特性を集めてペルソナと呼ぶのは簡単ですが、効果的なコミュニケーションツールであるユーザーペルソナを作成することはなかなか難しいです。以下の情報はAdobeのUXツールであるXDのサイトより引用させていただきます。
- Personas aren’t fictional guesses at what a target user thinks. Every aspect of a persona’s description should be tied back to real data (observed and researched).
ペルソナ像は、想像上の推測ではなく、観察や調査のデータに基づいて作成しましょう。 - Personas reflect real user patterns, not different user roles. Personas aren’t a reflection of roles within a system.
実際のユーザーの行動を反映します。 - A persona focuses on the current state (how users interact with a product), not the future (how users will interact with a product).
未来ではなく、現時点で製品を操作する方法に焦点を当てます。 - A persona is context-specific (it’s focused on the behaviors and goals related to the specific domain of a product).
ふるまいとゴールに焦点を合わせます。
その他、いいペルソナのポイントの特徴
- ユーザーのペインポイントとゴールの明確化。
- 顧客の課題を本質的に捉え、解決できるようなペルソナ設計を。実現したいことは何か?自社の特徴は何か。
- できるだけ視覚的に魅力的なものに。ペルソナの特徴を示す魅力的な配色を使用し、アイコンやグラフィックを使用する。
- 行動、態度、意見、動機など心理的属性を含める。
- ペルソナの画像を使用する。写真、漫画、スケッチのいずれでもかまいませんが、年齢、ライフスタイル、職業の観点から人物を適切に表現する必要があります。有名人の写真は先入観が入ってしまうので避けます。
- 使用ブランドを含める。競合他社である可能性もあります。ユーザーの好みや趣味に関する優れた洞察を想定します。
- 複数のペルソナを作成する場合は統一したデザインにする。特徴を比較しやすくなったり、思い出しやすくなります。
- 住んでいる場所や給与水準などの統計を乗せた方がいい場合があります。
- 詳細すぎないようにしましょう。文字はシンプルであるほど良いです。
- 具体的に書きます。「旅行好き」ではなく「1年に2週間の旅行に1回行く」など人間を想像しやすいように。
- 記憶に残ること、ビジュアルとしてのわかりやすさ、そして可能な限りの関連情報を伝えることが重要です。
悪いペルソナの特徴
- 思い込みや先入観を人物像に反映してしまう。
- 必要以上の情報を載せる。
【まとめ】
ペルソナを作成することにより、開発者やデザイナーは具体的なユーザー像を持つことができ、そのユーザーの視点からプロダクトを設計することが可能となります。これにより、ユーザーがより使いやすい、満足度の高いエクスペリエンスを提供することができます。
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